山腹に見える茅場
国宝や重要文化財などの文化財建造物を修理し、後世に伝えていくためには、木材や檜皮、茅、漆などの資材の確保と、これに関する技術者の育成が必要です。このため、文化庁では、文化財建造物の保存に必要な資材のモデル供給林及び研修林となる「ふるさと文化財の森」を設定しています。
このたび、本市から「五箇山相倉茅場」が茅(カリヤス)の供給林として新たに設定され、3月18日(金)文化庁において、青柳正規文化庁長官から、茅場の所有者を代表して出席した相倉史跡保存顕彰会の中谷会長に設定書が交付されました。
秋の茅刈り風景
世界遺産 相倉合掌造り集落
文化庁の「ふるさと文化財の森」の設定は、平成18年度から実施されているもので、今回の設定により全国で68箇所、県内では昨年設定の「五箇山上平茅場」に続き2箇所目となります。
「五箇山相倉茅場」は、世界文化遺産の相倉合掌造り集落周辺にある茅場をまとめて設定しており、総面積は約3.2ヘクタールになります。茅場所有者や世界遺産相倉合掌造り集落保存財団等の手によって維持管理されており、毎年秋には約6千束の茅が収穫され、主に相倉集落の合掌造り家屋の屋根葺き材料として利用されています。
今回の設定により、茅場の管理(下草刈り、病害虫・害獣対策、管理通路の整備、標識等の設置など)に要する経費に対して、国からの補助を受けることができるようになりました。この制度を有効に活用し、今後も茅場所有者らと連携・協力しながら、茅の安定確保、茅場の担い手の育成に向けた取り組みを継続し、貴重な地域資源である合掌造り家屋の保存継承を図っていきます。
文化・世界遺産課