17歳で投票できる?!

 平成28年に執行された参議院議員通常選挙の要綱の一部を見てみましょう。

  • 【選挙期日】 平成28年7月10日(日曜日)
  • 【投票できる方】 平成10年7月11日までに生まれた方

 誕生日が平成10年7月11日の人は、選挙期日にはまだ17歳のはず…選挙権は、満18歳以上でないと与えられないので、普通に考えると7月10日が投票日ならば、平成10年7月10日までに生まれた人が投票できると思われますが、いったいどういうことでしょうか?!

選挙権の取得は、18歳の誕生日の前日の午前0時から

 実は、18歳の誕生日の前日の午前0時になった瞬間に、選挙権を取得します。したがって、平成10年7月11日に生まれた人は、平成28年7月10日の時点で選挙権を取得しているので、17歳であっても投票ができるというわけです。
 なお、被選挙権についても同じことがいえます。例えば、選挙期日が平成29年7月10日の南砺市長選挙に立候補しようとする人は、平成29年7月11日までに25歳であれば被選挙権の年齢要件を満たしていることになります。
 ちなみに、「18歳の誕生日の前日の午前0時になった瞬間に選挙権を取得できる理由」については、たいへん難しい話になります。以下、関係する法律を確認してみましょう。

  • 公職選挙法第9条
    1 日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
     年齢の計算方法については、年齢計算ニ関スル法律及び民法第143条で規定されています。
  • 年齢計算ニ関スル法律
    1.  年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
    2.  民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
    3.  明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス
  • 民法143条
    1.  週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
    2.  週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合においては、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 要するに、民法143条では、年齢が加算されるのは、誕生日前日が満了する時、すなわち、誕生日前日の午後12時(誕生日前日の午後12時は、誕生日当日の午前0時と同じ時刻ですが、属する日にちは異なることに注意してください。)と解されています。したがって、年齢計算ニ関スル法律及び民法第143条の「満18歳以上」の解釈は、「18年目の誕生日の前日の終了をもって18歳に達する」と考えられています。

…ですが、この解釈だと、18歳の誕生日前日の午前0時になった瞬間に選挙権を取得するということと矛盾しているのでは…?

 実はそのことについて、大阪高裁(昭和54年11月22日)及び最高裁(昭和55年8月26日)で、次の判決が出されています。(注意:判決当時は、満20歳で選挙権を取得できたので、満20年を満18年と読み替えてください。

判決要旨抜粋

「公職選挙法第9条第2項にいう『満20年以上』というのは、『満20年に達した時』又は『満20年を超えるとき』等と異なり、満20年に達する日が終了したことを要せず、満20年に達する日を含むと解すべく、また、別の見方をすれば、公職選挙法第9条第2項の『年齢満20年以上』とは、選挙権取得の始期を定めるものであり、『満20年に達した時』又は『満20年を超えるとき』と異なり、満20年を達する日を持って選挙権取得の日を定めた趣旨であるとみられるから、満20年に達する出生応答日の前日の午後12時を含む同日午前0時以降の全部が選挙権取得の日に当たるものと解することができる。

 よって、選挙権は、18歳の誕生日の前日の午前0時になった瞬間に取得できるとの解釈されているのです。

プラスα 誕生日が2月29日の人は…?

 年齢計算ニ関スル法律及び民法第143条を踏まえると、誕生日が2月29日の人は、2月28日午後12時をもって年齢が加算されます。また、選挙権の取得は、17歳から1歳が加算される日の午前0時から取得できます。
 したがって、誕生日が2月29日の人は、18歳の誕生日を迎える年が、平年かうるう年かどうかにかかわらず、2月28日の午前0時から選挙権を取得します。

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